予防接種の目的は、子どもたちを感染症から守ることにあります。
予防接種によって、感染症への感染を防いだり、万一感染したとしても症状の悪化を最小限に食い止めることが可能になります。
ただし、自分の子どもだけに目が行きがちですが、予防接種率が向上することにより、国としても感染症の全国的流行を防ぐことができ、最終的には感染症の根絶・それによる国民全体の健康保全をはかることができるという側面もあるのです。
予防接種ワクチンによる副作用(副反応)が警告的にとりあげられるため、子を持つ親としての警戒心が先に立つのは、ある意味で無理からぬことではあります。
ただし、そのように予防接種を受けない子どもの数が、日本全体で無視できない数に達した場合は、感染症というものは必然的にまん延していきます。
2007年にははしか(麻疹)が全国的に流行し、小学校から大学まで休校する学校が相当数に達する事態が生じました。
つい最近とも言える2000年までの過去10年間で、日本では年に20~30万人の子どもがはしかに感染し、毎年およそ50人の子どもが亡くなっていたそうです。
副作用(副反応)を恐れるあまり、予防接種を受けていれば感染せずにすんだ病気に結局かかってしまった...ということも、現実に起こり得ます。
もちろん副作用(副反応)の問題が存在することも確かですので、親としては予防接種を受けさせる・受けさせないの判断を下す前に、信頼できる情報源から情報を集め、自分なりによく調べる必要があります。
マスコミの報道だけをうのみにして受診させないという判断を軽々に行うことは、子どもの健康という面からは避けた方がよいでしょう。>
予防接種は1994年の予防接種法の改正により、「必ず受けなくてはいけない」という義務規定から、「できる限り受けるようにすること」という努力規定に変わりました。
つまり、保護者の判断で予防接種を受ける・受けないを決めることができ、受けないと判断した場合でも、罰則などが科されることはありません。
予防接種には、感染力が高く乳幼児への感染を防ぐことを目的として、国が責任をもってすすめる「定期接種」と、希望者が自分の意志で、接種が可能な年齢の範囲内で都合のよい時期に自らの費用負担で受ける「任意接種」のふたつがあります。
「定期接種」は自治体の公費(無料)で受けることができ、万一接種後の健康被害が認められたときには、「公費による救済制度」も用意されています。
自治体から子どもの生年月日をもとに受診案内が送られてくるので、それに従います。
定期接種が必要とされるものについては、接種時期や内容が変更となる場合がありますので事前に確認しておくようにしましょう。
任意接種においては、「公費による救済制度」は用意されていません。広く医薬品を対象とした健康被害の救済制度が、適用されることになります。
予防接種の受け方ですが、市区町村などが場所と日時を設定して行う「集団接種」と、保護者のスケジュールや子どもの体調にあわせ、都合のよい日時に病院にいって接種する「個別接種」があります。
とりわけ「個別接種」においては、日頃から子どもを診察し健康状態をよく知っている行き慣れた小児科の「かかりつけ医」と相談しながら、受診の有無やスケジュールを含めて決めていくのがよいでしょう。
なお、個別の予防接種についての詳細なガイドラインおよび乳幼児~子どもの受診に必要な準備・心構え等については、あわせて以下をご参照ください。
キョウコノワクチン・シリーズ(公益財団法人 予防接種リサーチセンター)
最後に、感染症にかかりにくい健康で丈夫な体質を日頃から作り上げるよう、日頃から子どもの健康状態と発育に注意を払うことは、言うまでもなく大切なことです。
特に季節の変わり目の服装・外出先から帰宅したときの手洗い・うがいなど、「我が家の健康管理策」を日頃からこまめにちゃんと行うことも、できる限り心がけたいものです。