子どもは大人の仕事や予定にかかわりなく、また昼夜を問わず突然に、病気やケガをしたりするものです。
ごく軽症にもかかわらず救急車の出動を求める人が全国的に増え、救急活動に支障を生じはじめていることから、119番の通報段階で緊急度や重傷度を判定し出動の有無を判断する「トリアージ」を、この秋から全国に先駆けて導入した横浜市のような自治体も出てきています。
この流れは遅かれ早かれ、全国に広がってくることでしょう。
子どもを持つ親の身としては、いざというときに救急車が来てくれない可能性もあると思うと、不安になります。
もちろん、本当に緊急の場合には救急車は駆けつけてくれますし、救急医療のプロとして最善の仕事をしてれるはずです。
しかし、子どもが夜中に突然発熱したり、お腹がいたいと言い出したり、あるいはナイフで指を切って泣き出したりすると、親としてはもうそれだけで、気が動転してしまうものです。
結果として状況を冷静に見極めることもなく、すぐに119番を要請してしまう傾向があることもまた事実です。
もちろん出血を伴うケガの場合は、すぐに救急車を呼ぶことでよいでしょう。
(ちなみに、救急車の呼び方を知っておき、万一の際は最短時間で行動できるようにしておくことは、とても大切なことです。参考まで、「119番通報の方法(消防防災博物館)」を掲載しておきますので、ご覧ください。)
しかし体調がすぐれない様子を見せている場合などは、救急車を呼ぶほど緊急性のあるものかどうか、まずは子どもの状態を落ち着いて観察してみることです。
こどもの救急(生後1ヶ月~6歳対象)(日本小児科学会)
小児科のウェブサイトで調べたり、あるいはすぐに対応できるよう「子どもの病気百科」のような家庭用医学の本を一冊、お手もとに備えておきましょう。
以前も引いたような軽い風邪ではありませんか?暖かくして、明日の朝まで様子を見ることで対応できませんか?お腹がいたいと言っていた場合は、吐いたりトイレにいったあとで、少し楽になった表情を見せてはいませんか?
観察しながら、どういう状態かを病院できちんと説明できるよう必要なメモをとります。
そして、その子どもがいつもお世話になっているかかりつけの医院に翌朝連れていくことでなんとかなりそうだと判断できたなら、そのほうが賢明かもしれません。
なぜなら、救急車で搬送される場合(夜間の場合は特にそうですが)、自宅からどれくらい離れた病院に運ばれることになるか、わかりません。また、運ばれた先で受診した後、通常は経過をみるため、翌日の再来院を求められることになります。
また救急の場合、薬なども1日分程度しか処方してくれないはずです。蛇足ですが、帰宅は当然自費ですので、夜中に起きた話ならば帰りのタクシー代もかさむことになります。
もちろん、子どもの症状が普段とはちょっと違う...という親の直感が働いたような場合には、迷わず救急車を呼ぶのが正解となります。
ただしこういった理由から、救急車で運び込まれた先が遠方となった場合は、翌日以降は病状の経過観察やフォローのために、ずいぶんと時間(あるいは金銭的出費も)をとられる可能性が高いことだけは、覚悟しておきましょう。
判断が微妙なときにはすぐ119番するのではなく、翌日以降の対応も考えて、どう動くのがベストかを落ち着いてできるようにしておきましょう、ということです。
子どもの病気・ケガ発生にかかわる緊急時の動き方や連絡先をまとめた「我が家なりのマニュアル」をつくっておくのが、本当は一番よいですね。
都道府県別に置かれている「救急医療情報センター」では、夜間や休日の子どものケガや急病時に、お近くの受診可能な医療機関を24時間年中無休で案内してくれます。
各地域の「救急医療情報センター」は以下から検索できますので、いざというときにすぐ電話できるよう、家族の誰もが見えるところに電話番号を書いておくようにしましょう。
広域災害救急医療情報システム(都道府県別)
また東京都の「救急相談センター」は、救急相談医や看護師が24時間年中無休の体制で常駐し、救急車を呼んだ方がよいかどうか・応急手当に関するアドバイス・休日や深夜に診療可能な医療機関などについて、案内してくれます。
救急車を呼んだ方がよいものか、自分ではなかなか判断がつかない...と感じたような時に電話して相談してみるのも一法です。
救急相談センター(東京都)
※残念ながら東京都以外では、小児救急専用の電話相談窓口は設けられているものの、相談時間が限られるなど使い勝手はいまひとつのようです。
(#8000)小児救急電話相談(厚生労働省)