国や自治体(市町村)が定める「子育て支援」の、主な施策をご説明します。
・児童手当
「児童手当」は、国が定めた子育て支援策の柱となるものです。
中学校修了前の子どもがいる家庭に対して、国から毎月、児童の養育者に対して支給される経済的支援です。
支給に際して、児童の国籍や居住地は問われません。支給の根拠となる法律は「児童手当法」です。
児童手当の支給金額(2015年4月現在)は、以下のとおりです。
●0歳~3歳未満の子ども→15,000円/人
●3歳~小学校修了前(出生順位第1子・第2子)→10,000円/人
●3歳~小学校修了前(出生順位が第3子以降)→15,000円/人
●中学生の子→10,000円/人
●所得制限を超えた人→一律5,000円を「特例給付」として支給
(注)出生順位は、手当の支給対象でない18歳未満の子どもを含めて数えます。
児童手当を受けようとする場合は、お住まいの市町村窓口に申請する必要があります。
支給は申請のあった日の翌月分から開始されますが、毎年2・6・10月に、それぞれの前月分までが4か月分ずつまとめて支給されます。
ただし、児童の養育者が国民年金・厚生年金等に加入しているかどうか、またその場合は扶養する子どもの人数によって、「所得制限」の限度額が設けられています。
この定められた限度額を上回ってしまう方に対しては、児童手当は支給されません。所得制限は、「主たる生計維持者」の収入にもとづいて判断されます。
夫婦共働きの場合は、それぞれの収入額で児童手当がもらえるか否か、そしてもらえる金額も変わってきますので、市町村の担当窓口に照会してみましょう
また続けて児童手当を受給したい場合は、市町村窓口に毎年6月に、「現況届」を提出しなければなりません。
「現況届」は子どもの養育状況や前年の所得を確認するために必要とされており、提出しないと以降の児童手当が受けられなくなります。
さらに、子どもが生まれて養育する人数に変化が生じたときも、同じく届け出る必要があります。
・児童扶養手当/特別児童扶養手当
満18歳までの子がいる母子家庭には、子どもの人数に応じて「児童扶養手当」が支給されます。
児童手当は「児童手当法」、児童扶養手当は「児童扶養手当法」に基づいており、それぞれの要件を満たした母子家庭であれば、両方から手当を受給できます。
児童扶養手当の支給額(2015年4月現在)は、以下のとおりです。
●児童が1人→42,000円/月(全部支給の場合。所得に応じ、一部支給の場合有り)
●児童が2人→47,000円/月(月額5,000円を加算)
●児童が3人以上→1人増すごとに3,000円/月を加算
支給金額には物価スライド制が適用され、消費者物価指数に伴う増減があります。支給は、毎年4・8・12月の年3回、4か月分ずつまとめて支給されます。
2014年12月に、児童扶養手当法が一部改正されています。
公的年金を受給していて年金額が児童扶養手当額よりも低い人は、市区町村への申請により、その差額分の児童扶養手当を受け取ることができます。
児童扶養手当について(厚生労働省)
20歳未満の障害児がいる家庭に対しては、「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」にもとづいて、障害の程度に応じ「特別児童扶養手当」が支給されます。
特別児童扶養手当の支給額(2015年4月現在)は、1級が51,100円/月、2級が34,030円/月です。支給時期は児童扶養手当と同じです。
「児童扶養手当」と「特別児童扶養手当」は根拠法が異なる別々の制度なので、母子家庭における子どもが一定の障害を有している場合には、両方の手当を受給することができます。
なおいずれの手当においても、受給要件に該当しない場合は、手当を受給することができませんし、児童手当と同様に養育者の「所得制限」も設けられています。
特別児童扶養手当について(厚生労働省)
・市町村が独自に定める「子育てにかかわる経済的支援」策
多くの市町村においては、3歳未満の子どもの医療費が無料となっています。
また3歳以上でも一定の年齢に達するまで、「医療費の一部助成(無料の場合も有り)」を行っている市町村も多くあります。
母子家庭や障害者の子どもがいる家庭に対し、追加的に手当を設けている自治体もありますし(例:東京都の育成手当・障害手当など)、慢性病の子どもの医療費について、自己負担分の助成制度を用意している自治体もあります。
国が定めた児童手当等以外に各自治体で独自の「子育て支援策」を追加して設けている場合も多くありますので、自分の住む地域ではどのような施策が用意されているかについて、市町村の担当窓口で確認してみることをおすすめします。