育児・介護休業法(正式名称は「育児休業・介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)は、仕事と子育てなどの家庭生活との両立をはかることを目的に、1992年に施行されました。
この法律で定められた権利として、働く親は「子どもが1歳になるまで」は、「育児休業」をとることができます。
もちろん男性でもとることができますし、また子どもが養子であってもOKです。誰かほかに子どもの世話をする家族がいたとしても、(会社への説明は大変かもしれませんが)法律上は問題なく取得できます。
育児休業は、「1人の子どもに対して一回限りの取得」となります。二人目の子ども以降についても、育児休業は当然とることができます。
夫が育児休業をとり、その後同じ子どもに対して交代して妻が育児休業をとることは、もちろんOKです。
育児休業に関わる申し出は、1ヶ月前(1歳~1歳6ヶ月までの場合は2週間前)までに、書面でする必要があります。正社員だけでなく、「同一事業主における雇用期間が1年以上」であり「子が1歳になった後も契約の更新が見込まれている」ならば、有期契約で働く契約社員やパート社員も対象になります。
(なお、保育所に入所することができないなど一定の理由・特別の事情がある場合には、「育児休業」をとることのできる期間が「子どもが1歳6ヶ月になるまで」と6ヶ月延長されます。)
休業中は給与の50%が、保障されます。休業中に給与の30%を「育児休業基本給付金」として、そして復職後に残りの20%を「育児休業者職場復帰給付金」として、それぞれ受け取ることができます。
言ってみれば、前者は「生活のサポート費用」、後者は「職場復帰のお祝い金」といった性格のお金ですね。
ただし、給付金を受け取るための受給資格について前提条件がいくつかありますし、上限額も定められていますので、単純に毎月の給料の×掛けがもらえる...ということにはなりません。
会社の総務部など、担当部署に確認してみることをオススメします。
ちなみに、育児休業の期間は、年次有給休暇を取得するための出勤日の計算においては「出勤したものとみなす」となっており、計算上出勤期間に含まれます。
なので育児休業をとった日数分を、会社が有給日数から差引くなどといったことは法律違反となるわけですね。
なお、育児休業の申し出をしたことやあるいは取得したことを理由に、会社が解雇など従業員に不利益な扱いをすることは、労働基準法ではっきりと禁止されています。
この育児休業、育児・介護休業法の浸透とともに、女性の取得率は年々高まっています。
厚生労働省の調査によれば、2012年度の女性の育児休業の取得率は83.6%に達しています。
しかし一方で男性社員は、まだまだ職場の理解を得るのが難しいというのが現状で、育児休業の取得率は2%にも達していません。
出産後に職場復帰してがんばる「ママさん社員」の割合も確かに年々増えてきてはいるのですが、その一方で、女性社員のおよそ6割が第一子の出産とともに退職している現実もあるわけです。
子育て支援の法律(2)~育児・介護休業法と「看護休暇」 において引き続き、同法の「看護休暇」や「短時間勤務制度」をみていきます。